「自然災害は何度も起き、もっと大きな災害が起こる可能性がある。しかし備えることは誰にでも出来る」。福島高専ビジネスコミュニケーション学科・2年の松本和香さん(17)は呼びかける。
東日本大震災・東京電力福島第一原発事故の発生から15年を迎え、記憶の風化が懸念される中、次世代を担う学生たちが災禍の経験を伝える「かたりつぎ」に取り組んでいる。
もちろん幼かったため、震災当時の様子はあまり記憶に無い。だがこの街で生きる一人として、多くの人の思いを語り継いでいく大切さを強く意識する。
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いまから15年前の3月11日、松本さんは四倉の保育所でお昼寝をしていた。海の近くに立つため、すぐそばの高校に避難したとおぼろげにも覚えている。子どもなりに、何か恐ろしいことが起きたと感じたと振り返る。
成長するにつれ、震災による津波で甚大な被害を受けた上、原子力災害によって多くの人が住み慣れたふるさとを奪われた事実に触れた。「震災は本の中の出来事ではなく、現実に起きたことだ」。普段の生活では想像できない光景を目の当たりにし、胸が締めつけられた。
当時を知る人たちから聞いた話を、自分なりに理解しようと努めた。周りの人と協力し合い、コミュニケーションを取ることが大事だと教わった。次は自分が伝える番だと、自然と心得た。「『かたりつぎ』はこれからの未来のためにある。当時を覚えている人はだんだんと減り、語る人も少なくなっている」と強調する。
度重なる自然災害を前に、将来もっと大きな被害がもたらされるかもしれない。だからこそ未来を生きる人を守るため、いまの経験をおざなりにしてはならないと警鐘を鳴らす。松本さんには建築士の夢がある。それもただ建物を設計するのではなく「未来に備える建築士」だ。「この夢を実現することが、3・11の人々の思いを語り継いでいく方法になる」と前を向く。
さっそく「かたりつぎ」の機会が舞い込んでいる。11日にはイオンモールいわき小名浜で開かれた県主催「3・11ふくしま追悼復興祈念行事」でも自らの言葉を紡いだ。同じ気持ちの仲間もいる。福島高専ビジネスコミュニケーション学科・2年の中島幸愛さん(17)、都市システム工学科・2年の鈴木理央さん(17)も「かたりつぎ」に加わる。
11日の催しでは、震災を踏まえた語り部活動を続ける中央台南中の生徒5人とも共演した。震災から15年が経過し、いわき市では着実に記憶の継承が実現している。
(写真:追悼復興祈念行事で震災について自らの言葉で語る松本さん)
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震災15年 次世代が震災の記憶語り継ぐ 福島高専の学生「かたりつぎ」取り組む






