サッカー・J2いわきFCは10日、医療創生大との連携で、選手強化の一環として、主に若手に向けたメンタルトレーニングの取り組みを開始した。同大心理学部の協力を受けて、10月まで月1回・全7回にわたって、中央台飯野のいわきキャンパスで、講義と体を動かすプログラムを展開し、アスリートとしての〝心の成長〟につなげる。
メンタルトレーニングには、プロ2年目までの選手12人と、希望したDF嵯峨理久選手(25)、DF照山颯人選手(23)の計14人が参加。同大心理学部の窪田文子教授(大学院人文学研究科長兼心理相談センター長)らの協力で実施した。
窪田教授は試合中の緊張やミス、審判に対する不満によって、プレーを妨害する心理状態が生まれると指摘。目の前だけに集中する「マインドフルネス」を、いかに自らで生み出していけるかと呼びかけた。
さらに臨床動作法を用いたマインドフルネスの練習も行い、心の安定とともに、体の変化に気付けるよううながした。
チームを運営するいわきスポーツクラブの大倉智代表取締役は「スポーツ心理学はヨーロッパでは当たり前だが、日本は遅れている分野。若い選手が困難に立ち向かっていく中で、フィジカルを強化するいわきFCにとって、心も強くしていければ」と語った。
こうしたプログラムはJリーグのクラブでも珍しいといい、今後はユース年代に拡充したり、広く市民に提供したりできればとも話す。
同大にとっても初の試みとなり、窪田教授は「心をうまく使えるスキルを身に付けることで、パフォーマンスの向上にもつながる。日頃の研究・実践を踏まえ、日本では確立されていない領域に挑んでいきたい」と意気込みを示した。
参加した2年目のMF鏑木瑞生選手(23)は「感情のコントロールの面で、足りなかった部分があると自覚しており、回を重ねるごとにどんどん吸収していきたい」と述べ、プレーに還元していくことを誓った。
(写真:臨床動作法を用いたプログラムに臨む選手たち)
いわきFC