26日に「ハワイアンズスタジアムいわき」で行われた、J2第36節のいわきFC-水戸ホーリーホック戦。惜しくも勝利はかなわなかったが、ホームのゴール裏に、鋭い眼光で試合を見守る「鍾馗(しょうき)のぼり」が新たに登場し、選手をはじめ詰めかけたサポーターたちの士気を高めた。
県指定伝統的工芸品「いわき絵のぼり」の絵師が魂を込めた秀逸な作品で、昨シーズン途中からスコアボードに掲げている懸垂幕〝ハワスタの女神と守護神〟とともに、今季最終節までエールを送り続ける。
原画を手がけたのは、泉町の絵のぼり吉田代表の吉田博之=雅号・辰昇(しんしょう)=さん(46)。縦1・7m、横0・7mの原画を仕上げ、サポーターが印刷所に頼んで縦6m、横3mに引き延ばしたという。普段扱っている絵のぼりは縦4・5m、このうち絵は約3mのため、過去最大の作品になった。
鍾馗などを描いた武者絵のぼりの起源は、戦国時代の合戦時、敵味方を識別する軍旗が由来で、武将は厄除けなどを祈願した。サッカーボールをイメージした球を右足で踏み付け、高い位置からグラウンドを見下ろすような姿が選手を後押ししている。
この日、初めてスタジアムに足を運んだ吉田さんは自身が描いた原画の鍾馗のぼりと対面し、「大きくて迫力があって良かった」と安どしたようす。「依頼を受け、約2カ月掛けて昔から受け継がれている伝統工芸で仕上げた。心をひとつにいわきFCのシンボルとして親しんでもらいたい」と話し、サポーターとともに懸命にエールを送り続けた。
(写真:「鍾馗のぼり」と原画を作成した吉田さん=手前)
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