アルコールや薬物などの影響で起こした交通事故の罰則を強化した「自動車運転死傷行為処罰法」が、5月20日から施行された▼現行の危険運転致死傷罪(最高刑が懲役20年)の適用が始まったのが平成13年の12月。以後、悪質運転根絶に向けて、厳罰化を図ってきたが、検挙者は後を絶たないばかりか、同罪の立証が難しいということから、最高刑が懲役7年の自動車運転過失致死傷罪が適用されるケースが少なくなかった。そこで、遺族や司法関係者の批判の声にこたえたのが今回の処罰法だ▼ただ、これまでを見る限り、残念ながら厳罰化をしても悪質運転の根絶は難しいと言わざるを得ない。適用範囲の拡大や、罰則の強化を進めることをむだと言っているわけではない。一定の歯止めにはなるとは思うが…悪質運転をするのもしないのも、結局は運転者の気持ち1つ▼厳罰化や新法の設立も大事だが、同時に事故を未然に防ぐための安全教育も忘れてはならない。
片隅抄