「どうしていわきに秋田銀行のような遠い県の銀行があるのか知ってる?」▼ある歴史講座が終わったあと年配の男性がこう問いかけてきた。「おれが思うにね。江戸時代になって鳥居家が磐城平藩主になるまでこの地方を治めていた岩城氏が、秋田県の岩城(出羽亀田藩、現由利本荘市岩城町)に転封されたでしょ? 今も親子都市になってるけど、それと関係があると思うんだよね」▼彼はどうだと言わんばかりに自説を披露した。「富士銀行(現みずほ銀行)があるのだってさ、さかのぼれば古河の好間炭砿があったことと関係があるんだよ」。彼は1日おきに人工透析を続けているが、いわきの歴史に関心をもって講座を受講していたわけだ▼たいら学、内郷学、じょうばん学など各地で地域の特色ある歴史講座が開かれている。ふるさとの未来を考えるにはまず歴史を知ることが大切――というのがねらいだが、まさに〝温故知新〟。ぜひ若い人にも学んでほしい。
片隅抄