子どものころ、「蒸気機関車だ!」と言って、祖父の〝SHINSEI〟を口に含んで煙を吐いたことはあるが、肺まで吸い込んだことは1度もない▼祖父母に父、兄、親類の叔父たち。ヘビースモーカーぞろいの家で育ち、〝超〟のつく愛煙家の父は肺気腫になったが、幸い母と自分に受動喫煙の影響は出ていない▼たばこによる健康被害が重視され、禁煙ムードが日に日に高まっている。昔の刑事ドラマを見返すとたばこは重要な小道具で、スポーツの競技場でもたばこをくゆらせながら観戦する姿が見える。入社したころ、編集局の天井には紫煙が雲のように漂っていた▼禁煙は進んでも、周りへの気遣いがない愛煙家は今も少なくない。食事中にあるいは小さい子どもの前で吸う人の気がしれない。31日の世界禁煙デーにちなむ市民公開講座が6月3日、市医師会館で開かれる。これまでにない充実した内容だ。なぜ体に悪いのか、専門医のアドバイスに耳を傾けよう。