今月5日、東京都知事選が行われた。蓋(ふた)を開けてみれば、現職の圧勝という結果に終わった選挙だったが、盛り上がりに欠ける選挙でもあった▼いわきに住むものとしては関係ない選挙といえばそれまでだが、コロナ禍での選挙ということもあったのだろう。期間中上京した際もその雰囲気は感じられなかった。22人も立候補していたことにも驚いたが、不適切な表現での政見放送も議論を呼んだ▼被選挙権は国民に与えられた権利だが、表現の自由を逸脱し、選挙を冒涜(ぼうとく)するかのような政見放送をした候補者を見るにつけ、権利とは何かと問いたくなる。供託金制度で抑制されているというが果たして有効なのだろうか▼震災後の復興に奔走する人たちに対して、「最後は金でしょ」と発言し、批判を買った政治家がいた。確かに、お金は大事だが、それで解決できない問題の方が世の中には多い。国のため、人のために、たっぷりと汗をかき、泥臭い仕事をする政治家が国を救う。
片隅抄