世界的なドームブランドを背景に、いわきFCを〝黒船〟と揶揄する記事を目にするが、選手権と総体初出場、ジーコジャパンの練習相手を務めるなど、湯本高サッカー部の黄金期を築いたOB中心の社会人チーム〝いわきFC〟を知る身からすると、それは違うと異を唱えたい▼前身のいわきFCは選手として数々の栄光と挫折を味わったOBたちが「地域に愛され、スタジアムを満員にするチームに成長させたい」との夢を描き震災後に創設。自ら支援物資を車に積み、小名浜を訪れた安田秀一氏が思いを共有し〝譲り受けた〟経緯がある▼目標はJ昇格ではなく「スポーツを通じいわきを東北一の都市にする」と大倉智氏が繰り返し強調するのはそのため。チームカラーには、真っ赤なユニフォームで湯本旋風を巻き起こした選手の思いが受け継がれている▼昇格、優勝を果たした昨日の試合、スタジアムには4千人を超える観客が詰めかけた。ようやく夢がかなった。