スパリゾートハワイアンズ・ダンシングチーム(フラガール)の初代リーダーで、映画「フラガール」ではダンス指導も行った小野恵美子(おの・えみこ)さんが、4日午前6時30分、いわき市内の老人福祉施設で死去した。79歳。自宅は同市平南白土。葬儀は10日に家族葬で執り行われ、お別れの会を後日開く予定。喪主は夫の英人(ひでと)さん。
小野さんは内郷出身。常磐炭礦の職員住宅で生まれ育ち、小学生の時に炭鉱の子どもたち向けに開かれた「常磐バレエ教室」で踊りと出会った。磐城女子高(現・磐城桜が丘高)を卒業後、常磐炭礦に入社。忘年会の余興でダンスを披露したところ、副社長だった故・中村豊氏の目に留まり、常磐音楽舞踊学院の1期生として、初代フラガールの一人となった。
1966(昭和41)年の常磐ハワイアンセンター(当時)の開業から、10年にわたってトップダンサーとして活躍。結婚を機に引退した後も、自らの教室を主宰する傍ら、後輩のフラガールを指導した。2006(平成18)年公開の映画「フラガール」では、撮影現場での指導・助言にも当たった。小野さんがモデルとなった谷川紀美子は、女優の蒼井優さんが演じ、日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞に輝いた。
映画公開の翌07年に認知症と診断され、症状は徐々に進んでいった。09年12月には踊りを通じ、地域文化の振興に寄与したとして、いわき民報社から「いわき民報賞」が贈られた。2011年に始まった「フラガールズ甲子園」の呼びかけも務め、生涯にわたって〝踊るこころ〟を持ち続けた。19(令和元)年6月には、自宅の一角に小野さんの功績を伝える資料交流館「エミコ オハナ」もオープンした。
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