14年前の3・11東日本大震災から1カ月後福島、茨城県内を直下型地震が襲った。いわき市南西部の田人町地内などを走る活断層が震源とされ、上下の揺れは激しいものだった▼4・11の夕方5時過ぎ、外では雨が降りしきっていた。実際、こちらはデスクワーク中だったが、まさに「椅子から転げ落ちる」という表現が当てはまるほどの衝撃だった。大地震、東電福島第一原発事故に打ちひしがれていた時だけに世の無常を感じた▼地震直後、翌年の犠牲者慰霊祭と現地に足を運んだが、土砂崩れの光景が脳裏に浮かぶ。震災体験は人によってさまざま。内郷綴町の画廊ガレリアブルで開催中の個展「1965―60年の物語―2025」もその一つ▼画家広瀬論さんが津波後の有様に「しばらくは、絵筆を持つことが出来なかった」と。だが自らを奮い起こし、大作「海辺風景」などを制作した。作品からは現実に直面しながらも、立ち向かった意志が伝わってくる。