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いわき市医師会が内田市長に陳情 看護職員養成に向けた支援など求める
市医師会(斉藤道也会長)は2日、看護職員の養成に向けた支援と、高齢者に効果が期待される高用量インフルエンザHAワクチンへの公費助成を巡り、内田市長に陳情を行った。
斉藤道也会長が同日、市役所本庁舎に赴き、内田市長に要望書を手渡した。新村浩明、中山文枝両副会長、石井敦理事、国井信夫事務局長が同席した。
看護職員の養成に向けた支援に関しては、同会附属いわき准看護学校(中央台飯野)を取り巻く環境について要望した。同校は1971(昭和46)年創立。約6千人の准看護師を輩出しており、卒業生の5割強が地元で勤務している。ただ現在の学生数は定員の6割程度で運営は厳しく、同会が年間2千万円を投入している。
また2年間で約100万円の学費がかかるが、学生の中には高校卒業後にいったん就職し、資金を工面してから入学するケースも多いという。
同会では背景の一つに、2020(令和2)年から始まった高等教育の就学支援制度から、各種学校が除外されていることがあると指摘する。
こうした点を踏まえ、いわき市の医療環境を維持するため、市の私立専修学校等運営費補助の再設計・増額に加え、学費の減免を想定した補助金の創設を求めた。
斉藤会長は「内田市長には医師招へいに力を入れていただいているが、地元にいる看護師抜きでは新たに開業することもできない。地域医療を支えるため、自治体としての責務を果たしてほしい」と呼びかけた。
内田市長は「いわき准看護学校の補助は真剣に考えなければならない。要望を重く受け止め、現行の制度も見極めながら、来年度の予算で前向きに検討していきたい」と述べた。
高用量インフルエンザHAワクチンについては、日本では昨年12月に製造販売が承認され、来年秋にも発売が予定されている。
市では高齢者に向けたインフルエンザの予防接種に公費助成を実施しており、本年度も15日から始まる(1人1回1400円)。
新村副会長によると、高齢者はインフルエンザにかかった場合、合併症として脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる一方、通常のワクチンは免疫機能が低下した高齢者への効果は限定的といい、高用量の重要性を強調する。要望を受け、内田市長は知見や成果を含め、今後の動向を注視していくとしている。
(写真:市医師会からの要望書を受け取る内田市長)