平には、いわき駅の南側に繁華街が広がり、その中でも田町地区には多くの飲食店が軒を連ねている。そこでは、誰が名付けたのか、3つの路地を「一本目」「二本目」「三本目」と呼ぶようになっている▼小社の前の通りは国道399号だが「並木通り」、平から小名浜に続く県道は「鹿島街道」と言うように、別称の方がなじみが深い通りはたくさんある。長かったり、言いにくかったりするのを意味のある別称で呼ぶのが通例だ▼どっちから数えて「一本目」なのかは、人によって違うようだが、田町には並木通りから数えて「仲田町」「新田町」「紅小路」と言う立派な別称がある。▼繁華街は、単に酒を飲む場所ではない。その風情も大事にしなければならない。街並みもそうだが、通り名も大事な要素の1つだろう。震災後、復興に携わる人たちも含めいわき以外の人たちの姿も多くなってきている。料理や酒の美味しさだけでなく、街の風情も提供していく必要がある。
片隅抄