このところの暖かさで、関東地方では次々と桜が開花し、桜前線の北上にも拍車がかかる▼本県も桜の名所は数多い。中でも三春の「滝桜」は全国的だ。市内の桜の名所は各地に点在する。小名浜港を望む小高い丘の上にある富ケ浦公園では、170本を超す桜が楽しめる。さらに勿来の関公園、平の松ケ岡公園、鹿島街道沿いの鹿島千本桜等▼湯本の御幸山公園では桜祭りでにぎわう。小川諏訪神社の桜は樹齢500年を超す市天然記念樹木。市外に足を延ばせば古殿町の越代の桜は地域の宝として、住民らの手によって守り育てられている▼ところで浜通りでは地域によって、桜の開花に合わせ祭りが行われていたが、震災以降祭りを中断しているところもあると聞く。費用をかければ道路などのハード面はある程度は復旧するが、心の復興はそうはいかない。祭りは地域に根差した伝統行事。こうしたものが復活してこそ、初めて震災からの復興が成し得るのだろう。
片隅抄