沖縄県名護市辺野古の沿岸に、長い列をつくった大型ダンプカーが次々と大量の土砂を投入する様子をテレビで見た▼政府からすればアメリカの手前もある。「普天間飛行場を移設」するんだから仕方ないだろうが……という冷徹な国策の前には、美しい海も貴重なサンゴも、そして埋め立て反対を訴える住民たちの声もむなしい▼この光景を見ながら、成田国際空港建設の際に、千葉県成田市で起こった住民闘争(三里塚闘争)を思い出す。過激な一部の思想団体とは違う、先祖から受け継いだ田畑を小さな体で必死に守ろうとする老婆が痛々しかった▼日本の果ての、陸続きではない島で繰り広げられる米軍基地問題。これが東京湾だったら事情は違うが、悲しいかな、本土の大部分の人は他人事に思っている(はずだ)。だとすると、福島第一原発敷地内に汚染水が詰まった大量のドラム缶の処理だって「事故を起こした原発のある福島で」と思われても仕方がないのか。