もう20年近く前のことだろうか、小社が加盟する地域紙協議会の例会で、当時新築したばかりの大手通信機器メーカーを訪問したことがあった▼時代に即した斬新なデザインに圧倒されたのはもちろんだったが、最大の驚きは他にあった。会社にあるはずの個人のデスクがなかった。大小の会議室に、飲食もできるサロン的な空間がいくつかあるだけだった。さすがに当時は無線LANではなかったが、至るところにインターネットに繋がる端子が装備され、どこにいてもパソコンを通して仕事ができる環境ということだった▼新型コロナの蔓延で、リモートワークが脚光を浴びている。そこには、ネット環境の進歩により、社内にいなくても仕事ができる環境が整備されている現実がある。現に事務所の縮小化が進んでいるという▼何事も合理化は必要だが、コミュニケーションを軽視してはいけない。リモートで会議までやってしまうのは、仕方ないが今だけにしてほしい。