昭和50年代後半、日本を代表するサッカー漫画が連載を開始した。「ボールは友達」を信条とする大空翼が主人公の「キャプテン翼」。それまで野球一辺倒だった少年たちがこぞって、「背番号10」に憧れ、サッカーにのめり込んだ▼だが、いわきでは当時、サッカー部がある中学校が少なく、多くの若き才能が埋もれた。平成をへて、令和となった現在も少子化により部存続が危ぶまれ、学区内にサッカー部がないと嘆くサッカー少年の話も聞く▼昨年4月、「世界に羽ばたけるサッカー選手を育てたい」と東日大昌平中にサッカー部が誕生した。結成当時、あどけなかった1期生も2年生。創部2年目の今年、県新人戦は惜しくも優勝は逃すも、堂々の準優勝、足掛け3カ月にわたり開催した「マルトめひかリーグ」では初優勝した▼1期生が3年生となる来年が正念場。回を追うごとに、世界に羽ばたいていった大空翼のように、日本を代表する選手に育ってほしい。
片隅抄