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片隅抄

2021.04.26

高校野球の春の支部大会が県内各地で開幕した。コロナ禍で2年連続の中止が危ぶまれたが、高校球児たちにようやく球春が到来した▼いわき支部は当初、12校が出場の予定だったが、学校の事情で、実力校のいわき光洋と湯本が出場を辞退。関係者は「飛車角がいないようだ」と残念がる。そんな中、開幕試合に挑んだ勿来工業のベンチに名将の姿が。平成8年夏の福島大会で、勿来工業を準優勝に導いた鈴木茂監督が10年ぶりに、母校のユニホームに袖を通した▼25年前の夏。破竹の勢いで決勝の舞台に駆け上がった。最後は聖地を目前に、日大東北に力尽きたが、いわきの高校野球ファンを熱くした。振り返れば、あの夏以降、福島の高校野球は私学が台頭。公立校の甲子園出場は数えるばかりだ▼10年ぶりの監督復帰戦は磐城桜が丘にコールド敗戦。だが、58歳となった名将は笑った。「やっぱり、高校野球はいいね」。この笑顔は名門復活への序章だと信じたい。

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