地方予選を勝ち抜いて甲子園に出場するだけが高校野球の本分ではないことを、高校野球にかかわる選手たちを見ているとしみじみ感じる▼前日の天気予報では、開会式が行われた県営あづま球場のある福島市は「雨」だった。その通り、市内は雨が降ったりやんだりと式の開催が危ぶまれた。そんな中、球場近くの駐車場にはユニホーム姿の部員たちが、県内各地から観戦に来た大勢の来場者の車の誘導に当たっていた▼その中には胸に鮮やかなブルーで「聖光」と書かれたユニホームの選手もいた。身振り手振りで、(こちらが空いてますよ)と案内する選手が着ていたユニホームはしっとり濡れていた。「ありがとう。ご苦労さま」と労わらずにいられない▼ファールボール拾い、審判への水分補給、スタンドからの応援など、球場の内外にはいろいろな裏方の選手たちがいて、大会の運営に貢献している。試合に出られない選手の地道な貢献がいつか花開くこと願う。
片隅抄