パックご飯の需要には驚かされる。コメの消費が落ち込んでいる中で、年々高まっている。農林水産省によると、昨年に生産されたパックご飯は24万5811トンと過去最大を記録し、この10年で約2倍となっている▼小名浜の米問屋・相馬屋が、双葉郡楢葉町に製造工場を新設した。原発事故で被災した相双地方の営農再開を目指しつつ、3年後には東南アジアや米国への輸出も予定する▼取材で一緒になった業界紙の記者から、「意欲的な取り組みだ」と伝えられた。コメを知り尽くした問屋だからこそ、農家の苦境を知っており、さらに新たな販路を見出していると。無菌化包装米飯という点も、レトルトと異なりおいしさが違うという▼原発事故から来年で13年となり、全国的にニュースとなる話題は少なくなったが、復興はまだまだ途上。常に前進している姿勢が、いわき市の企業のパックご飯から県内外、そして世界に広がることを期待する。