メディア業界紙「文化通信」を発行する文化通信社(東京都千代田区、山口健代表取締役)が、地域紙の持つ〝地域ジャーナリズム〟を全国に発信するために昨年創設した「ふるさと新聞アワード」。このほど第2回の受賞記事が決まり、今年4月にいわき民報で掲載した「詩人草野心平直筆の『最後の詩』を紙面公開」が、「ひと」部門で最優秀賞に輝いた。2年連続の受賞となり、6月掲載の常磐炭礦女子野球チーム「コールシスターズ」を取り上げた記事も同部門で優秀賞に輝いた。
ひと部門で最優秀賞となった草野心平の記事は、弊紙連載「長橋だより」を担当し、心平と縁戚関係のある筆者関内幸介さんの相談を受け、諸事情により長年眠っていた心平晩年の直筆「最後の詩」などを紙面で本邦初公開したもの。未だ明らかになっていない心平の晩年を補完する貴重な資料で、ほかにも多くの未公開資料があることも指摘し、心平研究家や文学、歴史関係者に少なからず波紋を投げかけた。また、優秀賞の「コールシスターズ」は、昭和37年から7年間活動した常磐炭礦女子野球チームの解散60年の節目に合わせ、選手たちの活躍とその後にスポットを当て、市民や往年の野球ファンから反響があった。
最優秀賞について、審査員の温泉エッセイストの山崎まゆみ氏は「草野さんが残した言葉の解釈を踏まえ、晩年の複雑な心境と事情を明らかにする。その報道姿勢に、地方新聞は、その土地が生んだ偉人の肖像を伝え続ける意義があるのだとあらためて感じ、この記事を評価した」、ディスカバー・ジャパン代表取締役社長の高橋俊宏氏は「『これはスクープ!』なのでは。取材力の凄さを垣間見るとともに、貴重な資料としての価値がある記事だ」とコメントを寄せている。
表彰式は25日、東京都台東区の東天紅上野本店で行われる。
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