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原発処理水の海洋放出 IAEAの包括報告書公表 受け止めはさまざま
東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡り、国際原子力機関(IAEA)は4日、政府と東電が今夏にも予定している海洋放出の計画について、「国際的な安全基準に合致していると結論付けた」とする包括報告書を公表した。報告書では「東電が現在計画している通りの管理された段階的な放出であれば、人や環境への放射線による影響は無視できる」とも指摘している。
ただ関係者の不安は依然としてぬぐいきれない。小名浜の市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」に出店している「まるふと直売店」の志賀直行副店長(53)は、海洋放出は避けられない状況と理解しつつも、「自分たちの力では限界があるので、国が内外に細かく丁寧に安全性を説明していただきたい」と、政府が主張する安全性の証明を強く求めている。
また、同じく出店している海道水産の山田佳祐さん(33)は「コロナ禍でも十分な補償が受けられなかったと感じており、原発処理水の風評被害が生じた場合にも懸念がある。風評被害は自分たちにとって死活問題であり、万が一の際に政府がきちんと補償をするのか」と疑問を呈していた。これからも広く市民に向けて、丁寧な説明が必要となっている。