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いわき市 大雨被害の秋田・由利本荘に職員派遣「今度は私たちが恩返しする番」

 市は30日、大雨の被害を受けた親子都市・秋田県由利本荘市に対し、職員3人を派遣した。派遣は、2013(平成25)年1月に兄弟都市・宮崎県延岡市を交え、3市で締結した「親子・兄弟都市災害時相互応援協定」に基づいており、いわき市が由利本荘市に災害対応に向かうのは初めて。職員は支援物資を携えた先遣隊で、要請を待たずに赴く「プッシュ型支援」となり、現地のニーズを聞き取った上で具体的な支援を検討する。
 24日から東北地方の日本海側は断続的に記録的な大雨に見舞われ、25日未明には由利本荘市の石沢川の堤防が決壊し、避難情報のうち最も危険度の高い「緊急安全確保」(警戒レベル5)が発令。秋田県によると、同市では住宅54棟に床上・床下浸水の被害が確認されている。また同市では29日、石沢川の河川敷で1人の遺体が発見され、大雨との関連性を調べている。
 いわき市から派遣されたのは、危機管理課の間部芳文課長、古橋航太、千葉直輝の両事務主任。災害派遣と書かれた車両に非常食やペットボトル飲料水、土のう袋などを詰め込み、市役所本庁舎を30日朝に出発した。
 間部課長は「由利本荘市はあまり災害が多くない地域と聞いている。東日本台風や昨年9月の水害の経験を生かし、必要なことを伝えられれば」と話す。持参する物品のうち、軍手ではなくビニール手袋を選択したのも、これまでの復旧作業で得たノウハウだ。
 全国でも珍しいという親子都市。いわき地方を戦国時代まで治めた岩城氏が、関ケ原の戦いを経て、羽後亀田(秋田県・旧岩城町)に移封された縁から、1986(昭和61)年8月に両市町で交わされた。
 両市町間では文化交流が盛んで、2005年に岩城町を含む8市町が合併し、由利本荘市が誕生した後も関係を継続。同市は東日本大震災をはじめ、いわき市を襲った災害に際しては、り災証明書発行や市道復旧などに職員を派遣してきた。
 「災害のたびに、由利本荘市の皆さんには大変お世話になってきた。今度は私たちが恩返しする番」と間部課長。中長期的な対応を含め、今後のあり方を伝えていく。
 特に間部課長、古橋事務主任は、総務省の「災害マネジメント支援員」の資格を有しており、被災した自治体に対する助言を担える。いわき市は県内の市町村で唯一、この資格を持つ職員が在籍している。
 (写真:内田市長の激励を受けて出発する間部課長ら)

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