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勿来町の強盗殺人事件 53歳被告男 地裁郡山支部・初公判で金品強奪は否定
いわき市勿来町の住宅で昨年2月、金品を強奪する目的で、家人の無職小松ヤス子さん=当時(85)=をネイルハンマーで殴って殺害したとして、強盗殺人の罪に問われている、別の事件で服役中の本籍新潟県妙高市、無職木村進被告(53)の裁判員裁判初公判が29日、地裁郡山支部(下山洋司裁判長)で開かれた。
罪状認否で木村被告は「小松さんをハンマーでたたいたことは認めるが、物を盗んだり荒らしたりはしていない」と一部否認し、弁護側も殺人罪にとどまると主張した。強盗殺人罪の法定刑は死刑か無期懲役しかない。
冒頭陳述で検察側は、小松さんは所有する市内の一軒家から賃料収入を得ており、木村被告が2015(平成27)年ごろに借りていたと説明。木村被告は18年ごろから実妹に借金をし、犯行当時は生活保護を受給していたと明らかにした。
犯行前日の口座残高は3200円あまりで、当日は午前に当時住んでいた茨城県日立市のアパートを出発。同県北茨城市のホームセンターに立ち寄り、凶器となったネイルハンマーと、粘着テープを購入し、午後1時ごろに小松さん宅の近所に着いた。
木村被告は手袋をはめて小松さん宅に向かい、玄関前の廊下で犯行におよんだ。そして1階から2階まで、室内の引き出しを開けるなど物色し、同1時20分ごろには車に戻った。凶器のネイルハンマーは同1時半ごろ、いわき市錦町の鮫川に遺棄した。
一方で弁護側は、小松さん宅を訪問した理由は借りていた現金3千円を返すためで、ネイルハンマーと粘着テープはおじの自宅の修繕のために買ったとした。さらに小松さん宅に赴くと、何者かに襲われて瀕死で倒れており、パニックになって殴ってしまったほか、犯人がいないかそのまま室内を土足で探したため、盗んだ金品はないと重ねた。
(資料写真:福島地裁郡山支部)