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いわき市の構造改革 職員業務時間は3カ年で4・5%減 市民サービスに還元
市は行政の構造改革を図るため、2022(令和4)年度から3カ年にわたって「集中改革期間」を展開してきたが、市職員全体の業務時間が4・5%(23万5千時間)減となり、24年度は498万5千時間だったことが分かった。
市構造改革・DX推進課によると、予算や文書作成、照会・回答などの共通業務を見直して効率性を高め、業務量全体の縮減を達成できたといい、削減した分を市民サービスに配分することで、より便利で快適な生活が提供できたと強調する。
内田市長は21年9月の就任にあたり、人口減少・少子高齢化、若者の流出、激甚化する自然災害やコロナ禍を踏まえ、「柔軟で持続可能な行財政運営を確立」すると提唱。最適化・効率化・公民連携によって、行財政運営のあり方を変えると呼びかけた。22年4月には副市長をトップに「構造改革推進本部」を設置。行政改革・人事改革・財政改革をテーマに、3カ年の集中改革期間を設けた。
この3年間の主な取り組みとしては、政策の方針をまとめた「いわき版骨太の方針」の策定や、市の次世代移動サービス「MaaS」による出張行政サービス「お出かけ市役所」の運行開始、伝わる広報誌を目指した「広報いわき」のリニューアル、公共施設の適正化に向けた個別施設計画の策定、通信アプリ「LINE(ライン)」を使った行政サービスの提供「スマホ市役所」、保育所と家庭をデジタルでつなぐ「保育DX」などを行っている。
特にお出かけ市役所は、中山間地域を巡回して移動手段のない高齢者らの住民票交付などを手助けしているほか、23年9月に県内初の線状降水帯で生じた水害の際には、被災した住民のため罹災証明書の発行に駆け付けた。
数値で示す実績では、市公式LINEの登録者が1・6倍の4万人(5月時点)に。市民接点のデジタル化としては、3年間でオンライン申請を拡大したことから、改革期間前と比較して3倍の年間6万件まで増加し、申請率は全体の20・5%を占めている(3月時点)。いずれのサービスでも市役所に出向く必要が減った。
ただキャッシュレス決済の利用率は6・4%(1~3月の平均)にとどまる。市の窓口24カ所で、クレジット6種類・電子マネー14種類・コード決済8種類に対応しているが、多くの人が現金を使っており、市ではさらなる利用を期待している。
職員の情報共有もデジタル化で迅速になっており、ビジネスチャットツールの利用は月間23万9322件(3月時点)。ペーパーレスも推進しており、コピー出力枚数は21年度から2割減の月間300万枚(同)とした。公共施設の適正化は長期目標と住民対話で進めており、3カ年で35カ所の削減で1281カ所となった。
内田市長は25日、「構造改革はまだまだ途上で、結果には満足していない。特に公共施設の個別施設計画に向けては今後さらに数値を明確に示す必要があり、デジタル化も含めて気を引き締めてやっていきたい」と述べ、これらの取り組みを深化させていく決意をにじませた。
(資料写真:いわき市役所本庁舎)