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廃炉創造ロボコン 福島高専2チームは特別賞 デブリ回収模した課題に挑む
東京電力福島第一原発の廃炉をテーマに、全国の高専生がロボット技術を競い合う「第10回廃炉創造ロボコン」が20日、双葉郡楢葉町の日本原子力研究開発機構(JAEA)楢葉遠隔技術開発センターで開かれた。国内の高専10校とマレーシア工科大、タイ高専(KOSEN―KMITL)から計18チームが出場し、タイ高専が最優秀賞に輝いた。
いわき市関係では福島高専の「真・神頼み」が特別賞(アスム賞)、「福島高専Aチーム」が同(東京パワーテクノロジー賞)、同校学生が参加した連合チームが同(東芝エネルギーシステムズ賞)を受賞した。
大会はJAEA、廃止措置人材育成高専等連絡協議会の主催。原子炉格納容器の内部調査を想定し、遠隔操作でロボットをパイプや階段を通過させ、床面からデブリ代わりの樹脂製キューブを回収する課題に挑んだ。
いずれのチームもロボットが止まったり、キューブまでたどり着けなかったりと苦労したが、タイ高専が唯一すべての課題を達成し、審査員から高い評価が送られた。
福島高専の「真・神頼み」は5年生のみで構成するチームで、アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)のノウハウを生かし、廃炉創造ロボコンに挑戦。大会前のテストランではキューブの回収まで成功したため、多くの期待が寄せられたが、惜しくも競技中にマシントラブルが起きた。
「何が原因か分からない」「悔しい」。どのメンバーも本番の結果に肩を落としたが、その仕組みには胸を張った。親機には高専ロボコンで得た技術を基に、全方位で移動できる「オムニクローラー」を採用。回収用の子機は迅速に展開できるよう、伸縮する「ロジャーアーム」を盛り込んだ。
リーダーの本郷凌太郎さん(20)=機械システム工学科・5年=は「結果は残念だったが、引き続き機械の世界に進み、人助けをする福祉分野のロボットを研究したい。ひいては廃炉に役立つ技術の開発につながるかもしれない」と力強く語った。
(写真:自分たちが手がけたロボットを前にする福島高専の「真・神頼み」)