生歌で心が震えたのはいつ以来だろうか。あらためていわき芸術文化交流館「アリオス」大ホールの音響設備の質の高さを実感した。何よりその演出と、歌い手の歌唱、表現力に圧倒された。地方公演だからと決して手を抜かない。世界を相手に場数を踏んできただけある▼数年前に子に勧められ、逆に自身が大ファンになってしまった。楽しいとき、苦しいとき、常に傍らには『推し』の音楽があった。なかでも「嗚呼/何回でも/ほら何回でも/積み上げてきたことが武器になる/周りを見たって/誰と比べたって/僕にしかできないことはなんだ」とある「群青」の歌詞がズンと心に響いた▼『小説を音楽にする』というコンセプトだけに、言葉のセレクトとセンスがいい。彼らのような一流アーティストがアリオスで公演し会場の設備を絶賛した、この事実は業界に大きな影響を与えるだろう▼YOASOBIのふたりと直にお会いし、真摯(しんし)な人柄にも感動を覚えた。