NHKの大河ドラマ「龍馬伝」が、あす最終回を迎える。付け焼き刃としか思えない軽薄な芸でファンから笑いをとる若い芸人が幅を利かせ、ジャニーズ事務所所属のタレントが出ずっぱりの中、今年は日曜日の夜8時がとても待ち遠しかった▼行灯ならではの明るさを極力抑えた照明、地毛を使った生え際のリアルなかつら、天井の低い部屋、汚れをいとわないメークなど、今までの時代劇にはない迫真の演出に注目していた▼坂本龍馬という激動の幕末を駆け抜けた1人の志士の生きざまは、演出家の味付けはあったにせよ、ドラマを通じてファンに多くの感動を与えた。国会では相変わらず国民不在としか言いようのない論議を繰り返しているが、テレビが中継する中、質問者の激しい言い回しの方がドラマのせりふっぽく感じてならない▼決断力と行動力、そして優しさを兼ね備えた男。そんな龍馬のイメージこそが今の政治家に必要な資質なのだが、さてどうだろう。