埼玉県秩父市ではきょうまで、〝日本三大曳山祭〟のひとつ「秩父夜祭」が開かれている。その秩父市郊外に市立影森中学校はある▼♪白い光の中に山並みは萌えて――卒業式の取材で、子どもたちが『旅立ちの日に』を合唱するシーンに立ち会うとつい涙腺が緩んでしまう。実はこの曲が今から27年前、その影森中でつくられたことを最近、知った▼「卒業生のために、世界で1つしかない歌を贈りたい」と作曲を担当した音楽教諭から依頼された校長先生が一晩で詞を書き上げ、3年生を送る会のサプライズで教職員が歌い上げたのだという。プロがつくった曲でなかったことにあらためて驚いた▼南相馬市立小高中学校にも、津波で同級生2人を失い、残った生徒たちも離ればなれになった平成24年度卒業生が、自分たちの思いを詞に込めて音楽教諭が作曲した『群青』がある。学校で歌い継がれるオリジナルソング。『蛍の光』と『仰げば尊し』世代には羨ましい限り。