市が2021(令和3)年10月に策定した「常磐地区市街地再生整備基本計画」。湯本温泉郷の玄関口となるJR湯本駅前に多世代が集う公共、民間機能を併せ持った「たまり場(交流拠点施設)」を整備する計画が盛り込まれている。
スケジュールでは4月以降に土地の再配置や宅地整理、道路、駅前広場の工事など本格的な事業着手に移る。にぎわいを呼び込む手法として民間の活力注入が期待される中、財産でもある温泉とフラのブランド力をいかした全国初の「温泉図書館(フラの湯)」を拠点施設の核として整備してはどうか、といった地元住民らの声(提案)が注目を集めている。
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湯本駅前の交流拠点整備事業では、建設から40年以上が経過して老朽化が著しい支所と公民館、多目的ホール、図書館機能の移転が予定されている。
市は、いわきを代表するランドマークのひとつとして、市民と観光客の交流が生まれる場を大枠として構想に描いているが、常磐地区の有志らでつくるまちづくり団体「じょうばん街工房21」(小泉智勇会長)では、にぎわいを創出し次世代につなぐ魅力的な場にするためには民間の活力が不可欠と判断し、拠点施設に何が必要か、具現化に向けて協議を重ねてきた。
公共施設の中で注目したのが、図書館機能。そこに温泉郷の財産でもある温浴機能を掛け合わせた「温泉図書館(フラの湯)」の構想を作成した。
その上で、公共事業に民間の活力を注入する手法として、民間の資金や経営能力、ノウハウを活用する「PFI」や公共が資金調達を負担し、設計や建設、運営を民間に委託する「DBO」に着目する。
さらに26年度から公募、選定して決める事業者に示す、最低限の業務内容や実施条件などを記載した要求水準書に同構想が反映されるよう、より多くの住民の「合意」とするため、昨年12月から3度にわたり、市民参画型のワークショップ(WS)を開催して意見をまとめてきた。
ただ道のりは順風満帆ではなく、小泉会長は「(温泉図書館の構想は)最初は反対の声が大きかった」と振り返る。公共施設の集約・複合化自体を全否定するもので、図書館と温浴機能を両立させることはなおさら。
実際にWSでも温泉の湿気と蔵書の管理が成り立たないといった声が相次ぎ、解決に向けて侃々諤々(かんかんがくがく)議論が重ねられた。
小泉会長は「理解が深まったのが本当にうれしい」と語る一方で、「誤解していただきたくないのは、『温泉図書館の設置が決まった訳ではない』ということ。あくまで構想段階で、要求水準書に盛り込んでいただけるよう根気強く交渉していく必要性がある」とする。
(画像:湯本駅前の整備イメージ)
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常磐地区の市街地再生 全国初「温泉図書館」の案が注目 湯本駅前の活性を






