市消防本部は4月1日から、スマートフォンなどを利用し、火災や救急現場のリアルタイムの映像を、119番通報を受ける同本部通信指令室に送信することができる「映像通報システム『Live(ライブ)119』」の運用を開始する。
言葉では説明しにくい災害現場の状況が視覚的に把握でき、的確な対応につなげられるほか、映像を確認しながら応急手当を指導するといった効果が期待でき、導入は全国62中核市として18例目、福島県では郡山、福島両市に次いで3例目。またシステムを活用し、ドローンの映像を指令室に配信する県内初の取り組みも始める。
従来の119番通報では、現場の状況を電話の音声で把握せざるを得ず、焦りや緊張から通報者が現場の状況を伝えることができない場合、有効な応急手当の指導や出動すべき車両の判断ができない、といった障害が生まれることがある。
市消防本部では、今回の映像通報システムを導入することで、迅速、スムーズに現場のリアルタイムを把握できる。災害・事故現場では消防隊の増援が必要か、金属を切断するカッターといった資機材を投入すべきかなどの判断材料にする。
救急現場では救急隊が到着するまでの間、通報者や周囲の人たちが応急手当・処置ができるよう、119番を受けた同本部指令課の職員が心肺蘇生、止血、呼吸確保の仕方、AED(自動体外式除細動器)の使い方などをアドバイスするほか、傷病者の状況に応じてドクターカーを派遣するといった対応にあたる。
一般的に傷病者は、心肺停止から3分以内で処置を施すと75%が救命されるが、5分経過すると25%に低下すると言われている。昨年の消防統計によると、いわき市において覚知から現場に到着するまでの所要時間は平均で11分10秒。同システムを昨年から導入した福島市では、映像を確認しながら傷病者に的確な処置を施したことで命が救われた事例があり、いわき市消防本部でも期待を寄せる。
またシステムを活用して、ドローンで撮影した動画を通信指令室に送信する。18~20日に四倉町で発生した山林火災で試験運用を行ったといい、指令室の職員は「現場でも映像は把握できるが、『2段構え』で分析することにより、さらに効果的な対策が打てる。特に大規模な火災では延焼の状況が上空から逐一分かるため、消防隊の配備に役立つ」と有効性を指摘した。
(画像:情報共有のイメージ=市消防本部資料より)
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