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俳優・仲代達矢さん死去 いわきとも縁 主宰する無名塾の公演でたびたび来市
「人間の條件」「乱」などに出演して日本映画の黄金期を支え、今年に入っても舞台に立ち続けていた俳優で文化勲章受章者の仲代達矢(なかだい・たつや、本名・仲代元久=なかだい・もとひさ)さんが8日、肺炎のため東京都内の病院で死去した。92歳だった。所属事務所が明らかにした。
東京生まれ。1952年に俳優座養成所に入り、55年の俳優座公演「幽霊」で注目された。翌年に井上梅次監督「火の鳥」で本格的に映画デビュー。小林正樹監督「人間の條件」「切腹」、黒沢明監督「用心棒」「椿三十郎」「影武者」「乱」、木下恵介監督「永遠の人」などの話題作に出演した。NHK大河ドラマ「新・平家物語」や、「海は甦える」「大地の子」などテレビドラマでも骨太の演技を見せた。
若手俳優の養成を目指して75年に無名塾を開設。役所広司さんや若村麻由美さんらを輩出した。2015年文化勲章。読売演劇大賞芸術栄誉賞など受賞多数。 (読売新聞社配信)
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いわき市関係では、1958年公開の映画で、勿来海岸をはじめ県内で撮影が行われた機関車のカマ焚きの青年が主人公の物語「裸の太陽」に出演し、主人公の親友役を演じている。作品は第9回ベルリン国際映画祭青少年映画賞を受賞した。
またいわき演劇鑑賞会による招待で、無名塾の公演が旧平市民会館やいわき芸術文化交流館「アリオス」で開催されており、仲代さんもたびたび来市している。
同会の元代表幹事・宗形浩さん(88)は「名優ということで、お声をかけることも恐れ多いと思っていたほど。物静かなたたずまいだったことを良く覚えています」と懐かしんだ。
特に2008年4月にいわき芸術文化交流館「アリオス」のオープンに合わせ、仲代さんが主演する無名塾の「ドン・キホーテ」を呼ぶことができたことを懐かしむ。
通常は会員のみが観賞できるが、この時は広く市民にも呼びかけた。宗形さんは「いわきアリオスのオープンという記念すべき時に、公演が実現できたことはうれしかった」と振り返った。
(写真:仲代達矢さん)